2016/10/05 00:20

摩周湖周辺は私の調査フィールドでもありますが、霧の摩周湖として有名です。

この霧を以前NHKが追跡していました。

内陸部で発生する霧の多くは、川や湖の水蒸気に由来しますが、摩周湖で見られる滝霧という現象は、

はるか500Km南の太平洋で誕生した霧が湖にたどり着くというのです。

その番組を見ていて、これもなるほどなと思いました。

この霧が海から摩周湖にたどり着く途中に広大な釧路湿原があります。ここも調査フィールドなのですが、

ここで採取したサンプルの数値が高いのが、おそらくこの霧がもたらす塩分によるものではないかと謎がなんとなく解けたのです。

この霧の成分を摩周湖で測定するとちゃんと塩分が含まれていることを番組で紹介してました。

詳細は、3本目で。

湿原はもとは海で、4000年前くらいに砂丘が延びて乾燥化で湿原になったようです。
その後も、豊富な湧水、周辺河川からの水の流入、高低差がなく川が蛇行し氾濫し、頻繁に発生する霧と低温が影響して泥炭が堆積し、さらなる乾燥化による草原や森林化が食いとめられて、湿原を維持しているようです。
湿原は歩きにくいですし、蚊の大群など吸血昆虫もおり、エゾシカにとってもあまり快適ではないかもしれませんが、天敵やハンターが近づきにくいというメリットもありますし、冬でも雪が少ない場所に位置しています。また少しでも乾燥したり冨栄養化すると、ハンノキ林、牧草、ササなどの拡大が見られ、鹿の餌や隠れ家も豊富になります。
釧路湿原の多様性や景観を維持するためには、とにもかくにも水が必要、乾燥化をさせないことです。増えた鹿を駆除しても乾燥化したらそれでおしまいです。
高山帯も同じで、高山植物が温暖化による気温上昇もしくは植生変化によるライバル出現、受粉など繁殖に必要な昆虫に対する悪影響・・・に耐えられなくなれば、鹿による食害がどうのこうの関係なく消失するのです。