2016/10/05 08:49

日本は島国ですが、さらにその中で小さな島が沢山あります

対馬、慶良間諸島、馬毛島、屋久島、種子島、宮島、宮城県金華山島

これらの島には、すべて鹿が生息しております

共通点は何か?

すべて海水に囲まれた島です

では、淡水系の島に生息している鹿はいるのか?

います

北海道洞爺湖中島です

元から生息していたのではなく人為的な導入です そして3頭から400頭近くにまで増えたり、時に減ったり、また増えたり

していると報告されています。

下記の報告書の5ページにあります

http://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/hozen/sika/pdf/houkoku.pdf

1回目の増加は1970年代-1980年代

2回目の増加は2000年代 研究者は、従来の個体群動態モデルには当てはまらない挙動を示したと述べています

ここで非常に大きな疑問が生じます

この洞爺湖の島にいる鹿は塩分がないはずなのになぜ増えたのか?

塩分摂取なしで繁殖出来る鹿は皆無です。母乳にはナトリウムが含まれます。子の初期成長に直結します。消化の過程でも重要です。鹿が餌植物を消化する際に、微生物による分解が胃の中で行われます。この胃の中の環境が酸性に傾き過ぎると、微生物の活動に影響が出ます。胃のpHを微生物が働きやすいように維持する重要な役割を果たします。

もし、個体群動態について論じるのであれば、「この淡水の湖の中に位置する島の鹿の塩分摂取はどうなっているのか?」という大前提について、前置きがなければなりません。その前置きなしに研究しても、得られた現象を誤った解釈で考察することになります。

エゾシカの保全と管理という専門書の5章にも、同じく洞爺湖のエゾシカ個体数の変動が記載されていますが、ナトリウムに関する記述は全くありません。餌植物相の変化、個体群の質の変化、生息数の変化の記述はあっても、反芻動物 消化 pH ナトリウム 内陸淡水系湖沼に位置する島嶼環境という基礎的な要因や検証がされていないのは、科学的な研究といえるか疑問です。

1本目で、観光客がここの島に訪れるので、餌を与える場合があります。その餌には塩分が含まれていますという数値を示しました。

その恩恵に授かれば多少補給出来るかもしれません。観光客の変動と個体数の増減に因果関係があればそれでもいいでしょう。

鹿の初期の増加期と洞爺湖を遊覧する観光船の就航は概ね一致しています。観光シーズンの春―夏は、塩分を1番必要とする時期で鹿にとって都合がいいお客さんです。

そのほか、個体数が増加する場合は、妊娠率が高い、子が無事に生まれ、初期死亡率が低く、無事越冬し、その子が母となり・・・という前提が必要です。母や子の栄養状態は当然関係します。越冬には、前年のどんぐりの豊凶や積雪も関係するでしょう。

少し離れた大滝の気象データでは1990年代の方が積雪の影響が少なく、鹿が再増加した2000年代の方が積雪条件は悪いので、どうも積雪では説明不足になる可能性があります。積雪の影響で説明がつくのであれば、増加回復はもっと早い段階で起きても不思議ではなく、普通は個体数変動の凹凸があるものです。2回目の再増加は急に何か良いことが起きたような増加です。「従来の個体群動態モデルには当てはまらない挙動」と言っているわけです。もちろん積雪の影響は0歳の越冬を左右する重要なものですから説明出来る部分もあるでしょうけど、積雪というのは従来の個体群動態モデルに組み込まれているものですから、それでは予想外の出来事を説明したことにならないのでは?

いずれにしても最初の大前提について言及する必要があります。

潮風が届いているというのであればそれでいいですが、ここの地形はカルデラ地形凹なので、そうとも思えませんが。噴火湾は穏やかですし。

湖底で異変があり汽水化したというのであればそれでもいいです。ただそれほど大きな変化は起きていないと思いますが、もっと些細な水質変化でも影響はあると思います。例えば、1972 年に湖流入河川の幌別硫黄鉱山廃水の中和処理開始なんていう情報もあります。

上記報告書を見ても書かれていることは、鹿の個体数増加と過密化に伴い、ササが消失して、樹皮食いが起きて、森林更新が停滞して、林床植物の多様度が低下して、トゲのある植物や毒草、消化性の悪い植物が残りましたという植物、植生との関連性ばかり書かれています。土壌を調べたともありますが、ナトリウムについてはおまけのような扱いです。

そして、鹿は樹上から落ちてくる通年落葉に依存するようになり、小型化し・・・・と書かれています。低質だが量が沢山ある落葉に依存することで個体群を維持してきたと言っていますが、飼育している鹿に落葉と水だけ与えても、間違いなく塩分不足で死ぬでしょう。

では、樹木の葉に塩分が含まれているのかと言えば、ビートみたいなことにはなりません。塩分は害ですから。

実際過去に、ここの葉の成分はランダムに調べたことがあります。

夏に台風が何度も来て、強風で沢山の落ち葉が供給されたことで栄養状態が単年度なら良いこともあるでしょう。

海外にもこのような淡水系の島にシカが生息している場合があります。

このあと公開する3本目の論文に書いてありますが、抜粋です。


北米スペリオル湖(氷河湖)のIsleRoyale島では、陸上の植物にはNaがほとんど含まれておらず水生植物には、多いもので500-1,000倍のNaが含まれており、ヘラジカのNa供給源として夏季にジュンサイ(Brasenia schreberi)などが利用されている(Botokin et al. 1973)。ヘラジカが利用している水草のNa濃度は0.5%前後(乾物中)である。ヘラジカの個体数変動と共に水生植物の資源量も変化し、Na供給不足に陥ったヘラジカは、樹皮に含まれるNaを獲得するために樹皮食いを起こしたとされる報告もある(Belovsky 1981)


この島でも嫌いだったハイイヌガヤを食い尽くしたとあります


スコットランドのアカシカ研究が行われているラム島の場合は海に囲まれています


つづく