2016/10/30 00:59

全国にシカやイノシシの処理施設は数百箇所あると思いますが、鹿や猪は家畜ではないので、牛や豚の処理施設に持ち込めません。

そこで専用の処理施設を独自に作り、食品衛生法の基準を満たした処理場で解体処理して食肉として流通させているわけです。

自家消費はこの対象ではありません。

しかし、衛生処理がクリアされているから、品質も良いかと言えば、血抜きの状態や肉の堅さや捕獲時期や年齢などが法律で規制されているわけではありませんので、後は処理場任せということになります。

いくら衛生処理されても、美味しくない肉を食べることはないでしょうから、品質の安定は不可欠です。

血抜きや捕獲個体の選別(栄養状態、捕獲時期、年齢、性別など)さらに部位により品質は異なります。

銃で捕獲すれば、さらに被弾位置により食肉に向かなくなる場合や血抜きが悪い部位も出てきます。

さらに、捕獲後血抜きだけしても、内臓を早く取り出さなければ、熱も逃げず品質が低下します。

銃で捕獲するにせよ、生体で捕獲するにせよ、捕獲してから様々な解体処理をするまでの時間は早い方が良いわけです。

そうなると捕獲する地点は搬出を考慮すべきで、山奥で自家消費目的で捕獲するのは自由ですが、販売するのであれば捕獲ポイントは重要です。そういう観点から誘引技術というのは、無駄に捕獲してゴミにしてしまうような可能性を減らせるものと言えます。

さらに、処理場は1市町村1つあるわけでもなく、捕獲場所から移動する時間も1時間以内の場合もあれば、2,3時間かかる場合もあるでしょう。最初は、鹿が多いので短時間で済んだが、鹿が減ったため時間がかかるようになったというような場合もあるでしょう。1時間以内はさておき、それ以上は品質はどんどん低下するでしょう。気温が高い時期は尚更です。2時間もかかれば全然ダメというハンターは多いです。

そこで、現場で衛生基準を満たした簡易な解体空間や設備を搭載した一時処理車で内臓を取り出すなど品質が低下しないような処理をまず施してから、処理場に持ち込む方法がベストとなります。