2016/10/30 02:07

草食動物は、敵(肉食動物)から逃れるために、よく群れます。

もし群れないのであれば、

存在が目立たないようにするか(例えば森の中で)

敵の存在を先に察知する能力が高いか

敵が近づけない場所を中心に生息するか(例えば断崖で)

敵より速く逃げる能力を身に付ける(子は無理ですが)しかありません。

しかし、敵も集団で狩りをするようなオオカミやライオン、待ち伏せするようなトラ、速く走るチーターなどがいます。

日本ではカモシカはなわばりを持つので群れません。シカは群れます。群れると言うことは、群れを支える餌がなければ群れを長時間維持できません。森の中では、狭い場所で長時間群れを維持できるほどの餌はありません。一時的にあったとしても再生力持続力がありません。

それを可能にする場所は牧草地であり、言い換えると牧草地は見通しが良いので敵から丸見えです。一方、敵も見つけやすいと言えます。下を向いて餌を食べる個体もいれば、常に周囲を見渡すような神経質な個体もおり、誰かが警戒音や逃げるサインを出せば、群れは同調します。他力本願作戦です。

それでも警戒心が強く、多くは夜間に行動しますが、それ以外の時間は森のそばにいます。森の中から出て来る時は家族単位や単独なので、群れは血縁関係はバラバラです。

逃げる時は、みんなで逃げれば怖くない状態です。

この群れる状態の長期間の固定化が強制的に収容力や再生力が低い森の中で起きると、森林の植物の多様性低下や荒廃に繋がります。

強制的というのは、

森が開発で減った場合

保護区を固定化した場合(敵に囲まれた場合 現在はハンター)

大雪など立ち往生した場合

敵がおらず、その場所から立ち去る理由がない場合(オオカミなどが絶滅して逃げる必要がない場合)

シカによる樹皮食いで枯れてしまった森です。
大体こういう光景は、昨今の日本では国立公園内で見られます。先述の大台ケ原も似たようなものです。
そもそも日本の国立公園が出来た時は、100年以上前にニホンオオカミは絶滅していて、その前にシカも乱獲や大雪で絶滅寸前の状態にまでおかれており、回復期のシカは生息密度も低かったですし、分布域も狭かった時代です。
設立した時には、動植物の保護を目的にしていたわけで、シカの増加を想定していないわけです。
その後、保護政策やハンター減少と保護区の固定などの複合要因で、
森林植生の破壊や多様性の低下という問題に直面したのです。最近20-30年の出来事です。
生息数が増えたことだけでなく、生息密度と固定化=劣化のスピードが速いことに問題があります。

さて、話は戻り、群れるメリットですが、4本目では情報伝達に注目しました
つづく