2016/12/17 06:30

10月下旬の初雪以降、11月上旬に道北、道央圏で大雪が降り、12月に入り札幌周辺で記録的な大雪に見舞われております。

記録的というのは50年~60年に1度とかのレベルですが、これも温暖化の兆候のようです。

日本近海の海水温の上昇による水蒸気量の増加や北極圏の氷の減少は、気圧配置の変化や雪雲の発達に大きな影響を与えているようです。

この大雪がエゾシカにどういう影響を与えているかを簡単に述べますと、明治時代に大雪でエゾシカは絶滅寸前になったことが記録に残っております。

もっともその時は大雪だけでなく乱獲とのwパンチです。また、記録にはないですが、例えばその前に主食であるササが開花枯死していたかもしれませんし、よく分かりません。

ある程度推測できるのは、捕獲数の資料から当時の生息数が恐らく数十万頭であったということと、全道規模の大雪であったということ、年末年始に雪が降りやまず(爆弾低気圧が停滞?)・・・というようなことです。

では、大きなダメージを与える雪の降り方、積もり方はどういうパターンかと言いますと

北海道では、太平洋側やオホーツク海側に大雪をもたらすのは爆弾低気圧、日本海側や道北地域にもたらすのは冬型の気圧配置、それ以外に風向きです。

以下の調査から得られた結果を用いて説明します

http://www.nacsj.or.jp/pn/houkoku/h09/h09-no06.html

鹿に冬期間の餌不足をもたらす(餌を食い尽くすというよりも積雪で食べられない)重要な条件は、12月の積雪、3-4月の雪どけです。間接的には1シーズンの最大積雪深も関係はありますが、これは後半の雪どけのスピード(気温や降雨)で相殺されてしまう場合があります。

目安はクリスマス以前に70㎝に到達、正月に70㎝に到達、その後溶けずに安定して70+cmが何日間続くか(これが餌不足と脂肪の減少になるので1番重要)、雪どけが早いか遅いか、いつ積雪が70㎝を下回るかということです

最悪のパターンとは例えば12月10日に爆弾低気圧が居座り記録的な大雪があり積雪が70㎝を超えた。その後も寒気が入り雪どけに至らず、正月の時点で90㎝、さらに複数回大雪に見舞われ、最大積雪深は150㎝、3月になっても気温上がらず、雪どけ遅れ3月末でもまだ100㎝の積雪、70㎝を下回ったのは4月15日でした。

というような感じの場所が全道的に存在し、鹿が餓死するか弱って撃たれてしまうかという状況です。北海道で3月に狩猟をしてもいいことになっている地域がありますが、有効活用にも値しない個体が多い時期であり、ただ弱っている鹿を殺すことを長期間容認する感覚は理解出来ません。食肉としての活用率を北海道が上げたいのであれば、3月の狩猟許可や3月~4月の痩せている時期の駆除許可なんて出さない方が良いのです。

で、上記のパターンだと12/15~4/15の日数が約120日ですので、子はほぼ全滅、雄も大きなものから淘汰、メスも死にます。生き残っても出産に影響を与えるでしょうから、そのダメージは翌年の冬にも残ります。

1-3月が90日、12月に何日か、4月に何日か、この合計が100日以上か以下か?それが一つの目安で、厳しい冬を乗り越えられるエゾシカの生命力には感心します。

ということで、今年はどうなのかというと、そこまでは至っておりませんが、あと半月の間の積雪の増加次第という地域がいくつかあります。

当法人のHPに詳細データがアップされてます。

http://npo-hokkaido.or.jp/html/about_petfood.html