2017/04/07 20:24

WWFJAPANの会員の方はしばしば会誌で取り上げられてご存知だと思いますが

ロシア沿海州地方や中国との国境には、絶滅の危機に瀕しているアムールトラ・アムールヒョウが生息しています
http://www.wwf.or.jp/activities/2016/12/1351129.html

ここはニホンジカのルーツでもあり、北海道に似た植生の森林や湿原が広がっています

さまざまな機関が絶滅の危機から救おうと保護区を拡大したり、植林したり、山火事の防止、違法伐採や密猟監視などを行っています

この場所を衛星画像で確認すると





ロシア側の右に森林や湿原、中国側となんか違うことが分かるでしょう
拡大すると

中国側上には農耕地が広がり、ロシア側下には湿原が広がってます
つまり国境を境に土地利用が全く異なるのです
実は、国境沿いにも保護区があるようです 多くの保護区は内陸部にあります

そこで、WWFJAPANに問い合わせを行いました
保護区内の森などに塩場はあるかどうかです 天然の供給源でも人工塩場でもいいです

何故そのようなことを聞きたいかと言いますと
トラやヒョウの重要な獲物は鹿だからです
ロシア内陸部の保護区に塩場がなければ、中国側の農耕地に塩分を求めて出てしまいます
かなり高い確率で中国側の農耕地には北海道と同じビート(鹿の塩分供給源)が作付されているはずです
家畜もいるでしょう

鹿が出ていくということは、獲物を追いかけてトラやヒョウも出ていき密猟に遭いやすくなるかもしれませんし、そうでなくても
繁殖時の獲物不足に陥るかもしれません。

鹿が塩分供給源のない保護区にいれば繁殖に支障(トラやヒョウの餌の増加が鈍い)が出ます
それでは、保護区を拡大してもトラもヒョウも十分な餌を確保出来ないかもしれません

で、回答が来ました

ロシア側中国側でも塩場を人工的に設置しているようです

つまり保護区の質を下げない努力を既にしているようで安心しました

同じような取り組みの事例ーボルネオ島熱帯雨林の保護区
以下のホームページ参照
https://academist-cf.com/journal/?p=5224

Matsubayashi H, Lagan P, Majalap N, Tangah J, Sukor JRA, Kitayama K. Importance of natural licks for the mammals in Bornean inland tropical rain forests. Ecological Research 22 (5): 742-748. (2007).