2016/10/06 10:31

東の活火山雌阿寒岳一帯の阿寒湖の鹿と温泉の例を取り上げましたが、次は西の活火山有珠山について

こちらは私のフィールドではないです。なので事実と違うことが含まれる可能性がありますのであしからず。

野生動物の調査は個体数を把握することが難しいため、島のような環境がしばしばフィールドとして重宝されます。

それが洞爺湖中島です。そして先日、この島の特徴は淡水系であることを書きました。

つまり単純に考えれば、塩分欠乏の鹿です。もしそうでないなら、1人為的に与えているか、2土壌や湖水に含まれる塩分か、3泉でも湧いているか、4塩分濃度の高い植物を食べているかどれかでしょう。

人為的というのは、観光客が与えている餌に含まれるナトリウムで足りてしまい、かつ島の鹿がすべて依存している場合です

餌そのものを口にしなくても、観光客の餌やり場の土壌には周辺部よりも高い塩分濃度が検出されるはずで、そういう場所の土なめでもいいのです。土食いをすれば胃の中、糞に土が結構目立つと思います。特に春から秋にもそんな感じですと尚更でしょう。

ただし、観光客の餌やりでは全然足りていないことも十分考えられます。その場合、人為的に鉱塩が置かれていれば解決されます。

この可能性がいずれも否定されれば1だけではダメです。最近インバウンド系の観光客はよく洞爺湖に出入りしますので、案外最近はおねだりに成功しているかもしれません。爆給餌 笑。

でも、こうなると既に野生動物の研究ではないでしょう。

2ですが、

下記の報告書にありますように少なからず含まれております。これで十分なのかは分かりませんが、土食いはいずれにしてもしていると

思います。歯が磨滅しているなんていう研究報告もありますしhttp://web.tuat.ac.jp/~conserv/youyaku/mt302.html、落ち葉を食べているから磨滅することもあるかもしれませんがhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalstudy/24/1/24_1_17/_article、

それ以上に土(過去の火山灰)に含まれている塩分摂取行動による磨滅の方が大きいと思いますが・・・。無雪期の落下直後の落ち葉にはそんなに多くの土は付いていないでしょう。

歯が磨滅すると、消化に影響するとありますが、歯が抜け落ちるならさておき、磨滅で消化がどの程度悪くなるのか(塩分不足で胃の微生物活動に支障をきたす方が余程問題では?唾液のアルカリ度の低下は歯にも良くない?例えば鹿は胃酸逆流ではないですが、人間でいうと酸味が強い飲食物や、逆流した胃酸の影響で、歯の表面が溶けてしまう「 酸蝕歯(さんしょくし)」のようなもの)(逆にナトリウム不足が低減すると、泌乳と子の初期成長(初期死亡率)、胃のpHの適正化と消化能力の回復などに影響します  繊維質が多い樹葉は発酵過程で酢酸を生産するので、タンパク質消化によるアンモニア産生やNaアルカリによる中和が必要)(高タンパクの粗飼料が島内では不足している)(ここでは関係ないと思いますが、粗飼料不足、高発酵のデンプン糖類やトウモロコシなどの濃厚飼料摂取に伴う酪酸 プロピオン酸 乳酸などによるpH低下の場合もある)

同じような環境で落ち葉を食べ、餌の種類も磨滅速度もほとんど変化がないのに、2000年代前半に従来の動態モデルにない再増加を急に示したのは何故か?塩分の話抜きで説明出来るのでしょうか?

http://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/hozen/sika/pdf/houkoku.pdf

湖水成分の変化

これも案外重要だと思います

毎日摂取するものですから。多くは水産関係者が調べていると思います。

巨大な湖なので、どこを調べるかで値が変わるでしょうし、何を目的に調べるかでも項目が異なります。

例えばこんな報告もありました。結構興味深いです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslim/73/0/73_0_193/_pdf

中和したというのが非常に気になりました。酸性の水を飲めばシカの胃のpHはますます下がるばかりで、中和したというのは間違いなくプラスに作用すると思います。

3泉?無いと思いますが・・・海外では池ならよくあります。大体犯人はビーバーです ヘラジカがちゃっかり利用してます 

4以前鹿が食べているような多様な樹種の落葉の分析では0.01%とかそんなレベルでした。少なくともナトリウムを吸収している

植物はないと思います。ただし表面に付着しているような場合なら、可能性はあるでしょう。


で、2,4に影響を与えているのは、やはり有珠山だと思います。潮風の影響も0ではないでしょうけど、これらのカルデラ地形の南側部分が妨げているように思います。

ここの火山灰にはナトリウムが含まれていることは調べられています。過去に何度も大爆発し、火山灰が降灰してますし、泥流も洞爺湖に流れ込んでいます。湖畔では温泉が湧いてます。爆発しなくても地下水の動きや水蒸気が活動が盛んになり沢山出ていれば風向き次第では島に流れて来るでしょう。

http://www.npo-cemi.com/works/geopark.html

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslim/73/0/73_0_16/_pdf

http://www.ffpri-hkd.affrc.go.jp/koho/rp/rp56/report56.htm


もし、有珠山の火山活動が全く無ければ(休火山なら)、ここの鹿は上記報告書にあるような増え方をする以前に、塩分不足(消化不良含む)で繁殖(妊娠、子育て、幼獣の健全な成長)はほとんど出来ないと思います(観光客が与えたナトリウムがあるので出来てしまうと思いますが、有珠山の爆発により観光客は一時的に遠のいたにもかかわらず、同時期に鹿は増えておりますので、観光客由来のナトリウムじゃないと思います)。

実際、最近2回の大爆発1977-78年と2000年の後には、鹿の個体数は増加しています。

1999年から増加しているのは、調査方法が正確とすればよく分かりません。ただ火山が爆発する前から、水蒸気量だとか・・・火山にはいろんな変化があるのは当然なので、むしろ興味深いです。

http://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/hozen/sika/pdf/houkoku.pdf

p5参照

断定はもちろん出来ませんが、偶然にしては出来すぎでしょう。

エゾシカの保全と管理という専門書の5章にも、同じく洞爺湖のエゾシカ個体数の変動が記載されていますが、ナトリウムに関する記述は全くありません。もちろん有珠山や火山灰、土壌摂取に関する記述もありません。

2回目の2000年には既に鹿は落葉に依存するような低質個体群と研究者が書いてますが、それでも主食のメニューに変化がないのに

鹿は急増したわけですから、それを可能にしたのは有珠山がもたらしたナトリウムという仮説は全然とんちんかんなものでもないでしょう。

既に時間が経過しており回顧録になってしまいますが、例えば爆発前と爆発後の鹿の角のナトリウム濃度の比較なんてやってみると差が出るかもしれません。まあサンプル採取日などが正確じゃないと比較が出来ませんが。私のフィールドなら15年前に調べてます。

ナトリウムが繁殖の制限要因であれば、別に低質個体群が再増加したこと自体は従来のモデルにはない・・・というような驚くようなものではなく理論通りの現象となります。