2017/07/03 11:08

以下は国立感染症研究所が公表した情報などをもとに記述したものです

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/sfts.html

今年も多くの感染者や死亡例が報告されているSFTSですが、
一番問題なことは、有効な治療法とワクチンが開発されていないことにあります

注意喚起として、野山におけるダニとの接触を避けることがよく言われますが、遠くの野山に出かけた人が犠牲になっているとは限りません
例えば、農林作業、自宅の庭、近所の公園など
野生動物が増加し、都市や住宅地付近に出没するようになったことも影響しているでしょう
犬の散歩も要注意です
また、野生動物だけでなく、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの家畜も関係しますし、野鳥などに付着して拡散するリスクもあります
しかし、鹿やイノシシは東日本や北日本にもいるのに、なぜ感染例に地域的な偏りがあるのでしょう
もし、鹿が一番問題なら、奈良公園において一番「人ー鹿」接触・感染リスクが高くなっても不思議ではありませんが、そういう報告の偏りはないです
高齢ハンターの感染死亡例が多いような情報も今のところないです

特徴としては、死亡例は高齢者に集中していること、感染例が近畿四国九州中国地方と西日本に集中していること、年中報告されていますが特に春から秋に多いということです

西日本に多いのは、大陸に近いため大陸から運ばれたと最初に疑われたりしました
しかし中国や韓国でもSFTSは大問題でありますが、日本のウイルスは以前から存在していたようです
しかも西日本だけでなく全国にSFTSウイルスを保有するダニは存在しているようですが、感染例が多い地域のダニはウイルス保有率が高いようです

検査体制が確立して表面化しただけで、実は以前から原因不明の奇病として報告されていた可能性も高いとも考えられますが、そうだとしても感染例の地域的偏りを説明出来ません

そうなると、ダニの種ごとの分布の違いに目が向きます
特にこのウイルスを媒介する種類は、フタトゲチマダニとタカサゴキララマダニのようです
どちらも南方に多い種類です
フタトゲチマダニは、単為生殖を行うダニです
両者は、日本紅斑熱リケッチアを媒介することでも知られています
この日本紅斑熱も西南日本の感染例が多いです

追伸 日本紅斑熱関連 静岡新聞

マダニ媒介の感染症 静岡県東部で2人死亡

(2017/10/7 07:59)
http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/409976.html

西日本全域にSFTSウイルス保有ダニが多いのは、ウイルスを保有しているダニが吸血した動物を、別のウイルスを保有していないダニが吸血して獲得しながら増えているよりも、むしろウイルスを保有しているメスのダニが産卵する時に、経卵感染で幼虫にウイルスが引き継がれている可能性の方が高いと思われます

どちらの経路でもSFTSウイルスを獲得する可能性があるようです
メスが1000個産卵したとすると、その産卵場所の殺人ウイルス保有ダニの幼虫群(ダニ保育園幼稚園と呼んでます)は、地雷のようなものです

足に数百の幼虫ダニが付着しても小さすぎて気づかず、それに刺されてウイルスを注入されるとすれば、感染症例の多さも想像出来ます
実際、ダニに咬まれた形跡がない感染者も多いようです
幼虫ならかゆみだけで咬まれた痕は残りません 若虫の場合は微妙ですが短時間の吸血であれば残りにくいと思います
いずれにしても、吸血時間が長いことはウイルスを注入されるリスクが上がると思います

ウイルスが進化しているのかもよく分かりませんし、分布の偏りもきちんと解明されているわけではなく、西日本では特にこの時期警戒が必要です