2017/07/07 09:34



奈良公園の鹿を修学旅行で最初に見た時に、まさかその後鹿を研究するとは思いもしませんでしたが、 
それから約20年間、奈良の鹿は、天然記念物で野生動物ですが、どうも飼い馴らされているようで興味がわきませんでした。 

10年前に人生2回目の奈良公園に行った時、そもそも奈良公園の鹿は内陸部に生息しているのに塩分不足をどうやって満たすのか?疑問でした。  

一つは、奈良公園の鹿を管理している奈良の鹿愛護会が鉱塩を与えている可能性
 一つは、鹿せんべいに塩分が含まれている可能性 
一つは、公園のどこか周辺に塩分供給源がある可能性 などが考えられました。  

まず塩分不足の鹿は、消化、出産、泌乳、そして子の成長に支障が出やすくなります。 しかし、奈良公園の鹿は無事毎年出産しています。 これは、愛護会の鹿苑という保護施設に出産前に収容されて、鉱塩をもらえることで子育てに成功し塩分不足を回避出来ているのです。 しかし、妊娠していない鹿やオスジカは収容されません。 これらの鹿も全く塩分が無ければ消化に支障を来たして病気になります。実際奈良公園の鹿は病気の死亡率も高いようです。病気の原因が、塩分不足にあるのか、観光客が与える餌にあるのか議論の余地があります。  

観光客の与える餌といえば、鹿せんべい 
以前紹介した論文にも掲載しましたが、鹿せんべいは米ぬかや小麦粉から出来ており、塩分はほとんど含まれていませんでした。これをおねだりしても鹿の塩分不足は解消されないです^_^; そうなると、塩分が多い菓子類やパンくずを観光客からおねだりした方が良いということになります。 鹿から見ると、観光客は塩人間に見えているかもしれません。  
しかし、その時にビニール袋まで食べてしまえば病気になります。  

奈良県は、鹿せんべい以外の餌やり禁止にしようとしているらしいですが、参照http://fundo.jp/134311 
鹿せんべい以外の餌には塩分不足解消というメリットもあり、奈良公園の鹿は、観光客に餌をねだることで塩分を長年代々満たして来たと考えられます。  

餌やり禁止は賛成ですが、代わりに鉱塩置き場を作ることを検討する必要があるかもしれません。 鉱塩置き場を工夫することで交通事故を減らすことも可能かもしれません。 ということは、既に愛護会には伝えてあります。  

もう一つは、その他の供給源ですが、可能性は3つです  
一つは公衆トイレ 最近は改修されて入れない場所が多いですが、以前は頻繁に出入りしていた 
一つは冬にまいた凍結防止剤が公園内の池などに流れて泥を食べて満たすような光景は見ています。どの程度かはわかりません 
一つは奈良公園の外に出ていくこと、畑や堆肥場などで得ることです
その他 都会のリスなどはコンクリートを舐めて微かな塩分補給を子育て中に行っているようです。

↓以下のような時期 鹿の子模様の時期が一番塩分を必要とします
最近は外国人の観光客増えておねだり鹿には都合がいいかもしれません

塩分を最も必要とする時期に、塩分が微かに残っているようなお菓子の袋とかを呑み込むのはごく当然のことですよ

奈良のシカ、レジ袋を食べて死亡 過去4カ月で9

20190711

https://www.bbc.com/japanese/48946416



追記2020 コロナウイルス蔓延により2月以降奈良を訪れる外国人および国内の観光客は減少し、3月4月は外出自粛要請もありさらに激減しました。
下記のリンクには毎日新聞(毎日新聞)が餌をさがして市内を迷走したりゴミをあさる鹿を報道しています。
奈良公園 コロナ受難、腹ぺこ

恐らく春にもっとも必要となる極度の塩分不足に陥り始めたに違いない。
奈良公園の鹿は、代々習性として、せんべい以外にもぱんくずやお菓子などを無数の観光客からもらうことで塩分補給をしてきたが、観光客が消えたことで、塩分不足に陥る。鹿せんべいは、レシピが従来通りなら塩分はほとんどなし。
せんべいがもらえないから空腹で迷走という記事もあると思うが、そもそも奈良の鹿の食事の大半は芝草で賄っているはずで、草は芽吹き始めているのだから、観光客がいなくても4月に極度に痩せることはないと思う。またかなり食われても芝の再生力は凄く高い。
それよりも、餌(草)があっても、塩分不足だと胃の微生物が働かなくなるので、消化が出来なくなり結果的にはエネルギー不足タンパク質不足に陥る。そうすると、草があるのに鹿は消化不良で死んでしまう可能性も出てくる。ゴミに含まれるビニールなどを食べて消化不良とは別の消化不良。鹿は胃液で草を消化しているのではない。
もちろん鹿の数が多過ぎて、芽吹いた芝を十分に食えていない可能性もあるが、奈良公園に草があるにも関わらず(採食圧が高すぎて草自体が不足している可能性もありますが未確認)、草が良く成長する4月以降も鹿が迷走しているなら、それは餌不足というよりも塩分不足。
この時期メスジカ妊娠個体は施設に捕獲収容されているので、迷走しているのは、不妊メス個体とオスジカが大半。
迷走すれば事故遭遇も増える。

追伸
そして、観光客が激減して1年半
昨年は子ジカの死亡が多かったようだ
まあ当然じゃないか
母が塩分不足になれば子も同じ 消化にもマイナスの影響 初期成長 免疫、流産、妊娠授乳 すべてに関係してくる
そして2021年
子ジカの数自体が少ない
これも当然だと思いますけどね。
全てが連動していると思います
断言はしませんけど。大体予測通り。
20210804 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20210804/k00/00m/040/053000c
奈良の鹿愛護会(奈良市)は71516日に奈良公園に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」の頭数を調査し、結果を発表した。鹿苑に保護されている鹿を含めた頭数は1481頭で、前年より189頭少ない。公園に生息する子鹿は82頭(前年は254頭)と前年の3分の1以下になったことが影響した。
一方、愛護会は、20216月までの1年間に死んだ鹿は269頭で、20年に比べて39頭少なかったと発表した。ただ、雄鹿と雌鹿は減ったが、子鹿は112頭で前年より37頭多かった。269頭が死んだ原因は病気(80頭)、交通事故(59頭)など。