2017/07/07 10:03

鹿肉には、鉄分が豊富に含まれて貧血予防に最適な食材と言われており、その通りだと思います。  


では、その鹿はどこから鉄分を摂取しているのかといえば、それは鹿に聞いてみないとわかりません(笑)  

これを書いているのは、エゾシカと列車がよく衝突する場所の列車の中、  

2年前くらいに、「シカが線路に侵入するのは、線路の鉄分を摂取するため」という記事がありました(ここまでは良い発見)  この手の話はもっともらしいですが、 では、線路が無い場所の鹿は鉄分をどうやって補給するのか?それとも、鉄分不足のままなのか?  

まず考えられるのは、単純な土食いです。 線路の鉄分をわざわざ利用しなくても土を食うだけで十分補給可能です。
土の付いた根菜でも同じです。 

たまたま、調べた場所は、線路の鉄分を利用していたのか、土の鉄分よりも線路の鉄分が成分や消化、形状的に優れものなのか議論しないといけません。  

自然界で鉄分の多い餌は、トナカイなどが主食にしている地衣類や蘚苔類です。 これらは北海道だと樹皮によく付着しています。さらに湿原に多いです。例えば私がロシア サハリンの湿原で調査した時はトナカイは鉄の摂りすぎじゃないのと思うくらいでした。流氷とともにオホーツク海を南下し、プランクトンを育むのもこのロシアアムール地方の鉄分と考えられています。屋久島は苔類 地衣類だらけの島ですが、ヤクシカも鉄分の摂取量は多いかもしれません。 釧路湿原、サロベツ湿原、根釧原野これらを生息地とするエゾシカも湿原の水を飲むだけでもそれなりに摂取出来ると思います。つまり、線路が無くてもシカは鉄分不足にはなりません。
参考まで:
フルボ酸鉄とは
http://www.foresternet.jp/app/srch2/get_file/666
道東湿原地帯の鉄分について
http://akkeshi-bekanbeushi.com/josei/report/report_h15/2003_6.pdf

話は戻りますが、線路に鉄分を求めて集まるから、誘引材を開発したとありましたが、結局その誘引材の主原料は塩分つまり鉱塩に鉄分をブレンドしたもので、鉄分の話をしているのであれば、主原料は鉄分じゃないと説得力がありませんね。要するに、鉄を摂取している事象=鉄の誘引剤がいつでもどこでも有効というなら素晴らしいですが、おそらくそうはならないということです。 

私がよく使う誘引材は、鉱塩セレニクスという家畜用の鉱塩 5kgで1500円くらい(4個入りで6000円くらい) 全国の農協で購入出来ます。昔から広く使われているもので、運搬も楽、長持ちします。
http://www.zenoaq.jp/product/pd-7112.html
http://www.zenoaq.jp/product/pdf/pd-attached-61.pdf
これにも鉄は配合されていますので、同5000円(4個入り20000円くらい)もするような某誘引材を売る以上、価格に見合う3倍以上の効果があるならいいですけど、どうなんでしょう?ほとんど見た目も形状もそっくり、成分もほとんど同じなんじゃないの?と思います。

実際、効果は半年間とか効果が無くなったとか言っている話を聞きましたし、その効果がありますよと言っている時の鹿の写真の多くは、夏毛の鹿の子模様の鹿 場所もほとんど内陸部。これは何を意味するのかというと、鉄分誘引ではなく、塩分誘引に他ならないということでしょう、たぶん。
もし、それでも効果があるというならば、潮風吹きすさぶ海岸線の線路わきに真冬に置いてみるといいでしょう。それでも効果ありましたというのであれば、素晴らしい、2万円出す価値がありますよと称賛に値します。
そういう効果なければ、鉱塩セレニクスで十分ということです。効果持続期間も上記4倍の2年くらいあるということは既に私が実証済です。

 以上 列車内の余談でした

2019.11.18
旭川-網走間 特急大雪は二回もシカにぶつかりました

ぶつかった場所です

雪が積もると、林道や線路は歩きやすい 省エネの通路として利用される場合があります。