2018/05/20 20:24

先日、日本紅斑熱について書きましたが、それを引き起こすリケッチア。その他 感染症Q熱がリケッチアです(他の感染症SFTSや脳炎はウイルス、ライム病はスピロヘータによる)。


2011年、米国で、牛肉アレルギーの発生地域が、マダニ(tick)によって媒介される「ロッキー山紅斑熱」と呼ばれる重症の「リケッチア感染症」の発生地域と一致することが報告された(「リケッチア」は節足動物によって媒介される小さな細菌の仲間)。
アメリカ疾病管理予防センターCenters for Disease Control and Prevention:CDC)
https://www.cdc.gov/ticks/tickbornediseases/rmsf.html
ここで掲載のMAPを引用
Reported Cases of Rocky Mountain Spotted Fever, U.S., 2015

https://www.cdc.gov/ticks/maps/lone_star_tick.pdf#search=%27Amblyomma+americanum+meet%27
ここに掲載されているマダニの分布図と概ね一致


北米では、ライム病(ボレリア菌)を媒介する背中が赤く脚が黒い(black legged tick)というのが、北東部で大増殖しております。年間数十万人の感染者という状況です。
北日本にいるシュルツェマダニという背中の赤いマダニがこれと同じ部類です。北海道でもライム病は報告されます。
神経系がやられます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Ixodes_scapularis

CDCによるMAP
https://www.cdc.gov/ticks/tickbornediseases/lyme.html
引用
Reported Cases of Lyme Disease, U.S., 2015


一方で、南部に多いのは、ローンスターマダニ(Amblyomma americanum
https://en.wikipedia.org/wiki/Amblyomma_americanum
http://entnemdept.ufl.edu/creatures/urban/medical/lone_star_tick.htm
http://labs.russell.wisc.edu/wisconsin-ticks/wisconsin-ticks/amblyomma-americanum-lone-star-tick/
*抜粋
Meat allergy-Recent work suggests that some people may become allergic to red meat following the bite of a lone star tick.  Symptoms range from hives to severe shock resulting in a trip to the emergency room.  For many people, the allergy begins to wear off within a few months. 
日本で言うとフタトゲチマダニがこれに近いですね
日本紅斑熱やSFTSウイルスを媒介するチマダニです

日本の島根に戻ります(引用元詳細 http://healthpress.jp/2017/03/ao.html

ウシ、ブタ、ヒツジなどの獣肉には「α-gal」というアレルゲン(糖鎖抗原)が含まれ、この抗原はヒトとサルを除く哺乳動物の血管内皮細胞に発現している。そして、牛肉や豚肉のアレルギーの症状は、肉を食べたあと3~6時間で「遅発性じんま疹」としてあらわれる。

 そして、ヒトを吸血する「キララマダニ」の唾液中にあるα-gal抗原が動物の体内に注入されることが証明された。

 つまり、マダニに咬まれた人がα-gal抗原に感作(体内に抗原が入ること)され、のちに牛肉を食べたときに、アレルギー症状が出るというわけだ。

牛肉アレルギー患者の血液型は、必ずA型かO型で、B型、AB型の人はかからない。糖鎖抗原であるB型血液型抗原の構造はα-gal糖鎖に側鎖としてフコースという糖が結合した形であり、α-gal抗原に対して免疫寛容状態になっているからだと考えられる。

わが国で牛肉アレルギーは、島根県で多発している。この地域には、フタトゲチマダニに媒介されるリケッチア症である「日本紅斑熱」が流行しており、実際、フタトゲチマダニの唾液中にα-galが証明された。

北米
https://en.wikipedia.org/wiki/Alpha-gal_allergy