2018年5月に千葉県の養豚場で豚コレラが発生しました。
1992年の熊本県以来のようです。
*豚は死にますが、人には感染しません。
今月に入り、岐阜県の養豚場で豚が大量死し、豚コレラが検出され、国内産豚肉輸出停止措置がとられたようです。
http://tokai-tv.com/tokainews/article_20180910_62481
養豚場の豚は、感染拡大を防ぐため殺処分で焼却されたようですが、養豚場が死んだ豚を無許可で堆肥にしてしまっていたようです。
ウイルスの遺伝子解析から海外由来のものと疑われているようです。
問題は、ここからです。
養豚場半径10㎞圏の野生イノシシの死体が見つかり、コレラウイルスが検出されたとのことです。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180914-00004879-tokaiv-soci
さらに2頭目
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180916-00000065-mai-soci
さらに+3頭
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180920-00008544-cbcv-soci
養豚場と野生イノシシとの接触を阻止すべく電気柵を張るようです
今まで野放し 出入り自由だったのか・・・・これは他の感染症のことも考えると良くないですね。
ただ、これは養豚場ガードで、既に野生イノシシは半径10km以上に豚コレラを拡散させており、この野生イノシシによる拡散防止策や汚染地域をどうするかですね?
養豚場の周りに、野生のイノシシがいて、施設の一部にある餌や豚の糞尿、さらには今回のような感染豚の堆肥場を利用すれば
当然このような事態になるのは想像できます。
どの範囲までウイルスが拡散しているかはわかりませんが、こうなるとある範囲のイノシシをすべて監視し、必要に応じて捕獲や囲い込みを行わなければならなくなります。
群れで行動するので感染拡大しやすい、オスは20-30kmはすぐに移動してしまうと書かれています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00010002-sp_ctv-l21
現時点でどのエリアは安全で、どのエリアは不明=緩衝地帯で、どのエリアは完全に汚染地帯と区分けして、安全地帯に向かってその内側の汚染地帯や緩衝地帯から外側へ侵入しないようにしないといけません。
可哀そうですがとにかく汚染地帯緩衝地帯のイノシシは全て捕獲するくらいの覚悟でやらないと。特に初期の捕獲圧は、強くかけないと中途半端に時間をかけてやっても封じ込め出来るか微妙です。
仮に50km圏を超えてしまうようだと、偶然自然消滅する以外もうお手上げではないでしょうか?コスト的にも岐阜県だけで対応できるものでは無くなります。
今回は豚とイノシシで、鹿は関係ないですが、
鹿でもそういうリスクが0ではありません。
あくまで仮定の話です。
北海道には野生の鹿を捕獲して飼育している施設が複数あります。
ほとんどが野生の鹿も出入りするような場所に飼育場があります。
さらに飼育していなくても、解体処理場で処理した残渣や捕獲個体を、焼却ではなく分解処理している事例があります。
参照:減量化http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/est/yk/genryouka/tebikisyo.pdf
海外で発生している鹿の感染症の感染源が付着している飼料を、輸入して飼育している鹿に与えてしまった場合は、感染する可能性があります。
通常は輸入停止などがなされますが、100%阻止できるとは限りません。
もし与えているなら、どういう輸入品の餌を与えているかきちんと把握出来ているのでしょうか?
現在は、国内に感染源はないことになっていますが、海外から侵入するとすればこういう経路が、豚イノシシ同様現実的です。
もしくは牛ヒツジ馬などの家畜施設 飼育場から間接的に影響を受けることでしょう。
飼育もしくは捕獲処理個体を焼却ではなく、上記のような減量により処理した場合、肥料には使わず産廃処理するとありますが、
処理している空間に野生の鹿が出入り出来るのであれば、その場所は汚染源になる可能性があります。
昔は堆肥を野積みにしたりしていた時もありますし、今でも堆肥置場は完全に閉鎖空間ではないので、夜間鹿が出入りして利用することもあります。上記手引きには野生動物が利用しないような施設にするようにと記載はありますが、本当にそこまで厳重管理出来ているのでしょうか?ハウスに鹿が入ることもあります。
https://npohokkaido.thebase.in/blog/2016/09/13/064616
糞尿堆肥と違い、上記のような骨なども含むいわゆるBSEでいうと危険部位などを一時的でも焼却以外で分解処理して大丈夫なのか?
いろいろ問題がありそうです。
追伸
3か月後の状況
初期段階がとにもかくにも1番重要でしたが、そこで公的機関が何度も不手際
岐阜に限らず、行政は形ばかりの計画や手続き、ルールを作るのは得意ですが、実効性や問題解決能力に優れているとは限りませんという一例ですね。
豚コレラ、終息せず=発生3カ月、目立つ不手際―岐阜
県は感染症を疑いつつも、「熱射病」と診断していたことが判明。対応が半月近く遅れた。
岐阜市が運営する「畜産センター公園」で発生
防疫に十分取り組んでいるはずの県の研究機関で発症した
岐阜県では豚の3例とは別に、野生イノシシの感染例が60頭以上確認されている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181209-00000015-jij-bus_all
愛知県では初めて 豚コレラ確認
岐阜県で豚コレラに感染した野生のイノシシが相次いでいる問題で、県境の愛知県犬山市で、今月19日に捕獲された野生のイノシシ1頭が豚コレラに感染していたことが確認されました。愛知県での感染確認は今年9月に岐阜市で見つかって以降、初めてです。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20181222-00000056-jnn-soci
豚コレラ、岐阜県外に拡大 愛知・長野・滋賀・大阪でも
完全に失敗でしょう
岐阜以外にも愛知のイノシシ猟にも相当影響が出そうです
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190206-00000016-asahi-soci
「豚コレラ」5府県で1万6千頭を殺処分へ
イノシシはさておき人為的拡散による無駄な犠牲は管理体制がずさんな結果
また豊田市の養豚場では、先月から今月5日までに岐阜県や三重県、長野県、滋賀県、大阪府に子豚を出荷していて、三重県以外では豚コレラの陽性反応が出た。愛知県をあわせた5府県でおよそ1万6000頭の豚を殺処分することになった。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20190207-00000000-nnn-soci
感染拡大か…恐怖の「豚コレラ」が日本全土を襲う危険性
非常事態です
イノシシの問題だけでなく、畜産農家、食品産業、食肉自給率、貿易に関わる大きな問題です
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190206-00059714-gendaibiz-bus_all&p=1
豚の断末魔に戸惑い 自衛隊が殺処分支援完了へ 隊員のメンタルに配慮
まあ、これくらいの対応で大丈夫だろうとか、殺処分すればいいだろうとか、補償すればいいだろうと考えているなら、
それは大間違いで、一番嫌な作業を自衛隊員に押し付けていれば、また行政は再発防止に努めますとか言って、同じようなことを
繰り返していくのです。もっと全体を見渡せば、大規模養豚場効率化に頼る我々消費者にも相当な責任があります。
ペットの殺処分然り、家畜の殺処分然り、野生動物の駆除然り・・・根底にあるのは命と社会はどう向き合うかということです。
ただルール作りだけしておしまいというレベルで済ませても、何も良くならないと思います。基本的に豚が鹿やイノシシに置き換わっても同じことです。イノシシの今回の件に関する駆除は少なくとも数千頭にはなるでしょう。つまり数千の命が人間社会の都合で強制的に奪われていくのが今の日本社会ということです。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190208-00000608-san-life
多くの豚を殺処分し、多くのイノシシを捕殺し、次は野生イノシシへワクチンのようですが、
結局大火事になる前の対応がまずく、こんなことになってしまいましたね
豚コレラ対策 えさ型ワクチンに「期待」と「困惑」の声
「イノシシはものすごく警戒心が強い。薬品が入ったえさを食べるだろうか」。岐阜県山県市でイノシシ肉を販売する臼井勝義さん(65)はいぶかる。猟友会とともに捕獲に協力しているが、「イノシシは、わなを仕掛けても人間のにおいに気付いて掘り起こしてしまうほど。えさに薬が入っていたら絶対食わないと思う」。同県高山市の猟師、今井猛さん(67)も「イノシシはなわばりを持っているので、多くのイノシシに投与するには相当な量と手間がかかるはずだ」と疑問を持つ。
大阪府立大の向本雅郁教授(獣医感染症学)は「イノシシへのワクチンはドイツなどで成功例があるが、流行を止めるのに7~8年ほどかかった。日本とドイツではイノシシがすむ環境が違い、日本で効果があるかどうかはわからない。やらないよりはやってみた方がいいという判断ではないか」と話す。
東京農工大の白井淳資教授(獣医伝染病学)は豚へのワクチンが必要と指摘する。「山にまいたワクチン入りのエサをイノシシが食べる保証はない。岐阜は日本の真ん中にあり、西日本にも東日本にも感染が拡大する恐れがある。日本の養豚を救うため、区域を決めて豚にワクチンを使用するべきだ」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190226-00000040-asahi-soci
野生イノシシに対するワクチン投与は開始が遅すぎたか限界ありでしょうね
範囲が広すぎて・・・
とにもかくにも初期対応がまずい↓
豚コレラ、三重で初確認 野生イノシシ2頭感染
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46605890W9A620C1CN8000/
日本経済新聞 2019.6.26
福井で感染イノシシ初確認 豚コレラ、岐阜県境の大野
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47064460X00C19A7CZ8000/
日本経済新聞 2019.7.7
福井県内の養豚場で豚コレラ感染確認 飼育されている豚全て殺処分へ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190729-00010002-fukui-l18
福井新聞 2019.7.29
豚コレラ 感染イノシシ10頭に倍増/富山
チューリップテレビ 2019.9.10
豚コレラ発生1年 終息兆し見えず 養豚場、4県40例
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190910-00010002-agrinews-ind
日本農業新聞 2019.09.10
諏訪市の養豚場も監視対象農場に指定 豚コレラ・・・感染イノシシ108頭 長野
長野放送 2019.9.10
NHKの時論公論2019.9.9によれば↓
すでに野生イノシシの感染個体は、岐阜県全域、愛知、富山、福井、石川などの広大な生息地で確認されているようです。
わずか1年で、まるで戦国の織田信長の軍勢の勢いです。
1年前に下記のように書きましたが、もっと狭い範囲で手を打たないと、これではもはやお手上げレベルです。
「現時点でどのエリアは安全で、どのエリアは不明=緩衝地帯で、どのエリアは完全に汚染地帯と区分けして、安全地帯に向かってその内側の汚染地帯や緩衝地帯から外側へ侵入しないようにしないといけません。
可哀そうですがとにかく汚染地帯緩衝地帯のイノシシは全て捕獲するくらいの覚悟でやらないと。特に初期の捕獲圧は、強くかけないと中途半端に時間をかけてやっても封じ込め出来るか微妙です。
仮に50km圏を超えてしまうようだと、偶然自然消滅する以外もうお手上げではないでしょうか?コスト的にも岐阜県だけで対応できるものでは無くなります。」
国は、長野側と滋賀側 東西に大量のワクチン入りのトウモロコシを野外にベルト状に設置して、東西への拡散を防いだり捕獲数を増やしたりと考えているようですが、ワクチン入りのトウモロコシをベルト状に大量に設置しても、感染していない野生イノシシ全個体が万遍なく食べてくれるとは限らず、ベルト状に設置しても感染個体は柵とは違いすり抜け自由なわけです。例えば、既に感染している個体が京都まで行けば、それで失敗ですよね。
今は、ドローン(やヘリ)で毎日撒きまくる勢いじゃないと後手後手でダメじゃないかな?さらに生まれるウリ坊のことも考えたら、追加も必要でしょう。
とは言っても、トウモロコシを撒いても、カラス、サル、クマにも影響があったり、腐ったり・・・埋めるにしても、コスト、遅い、警戒心、ウリ坊、積雪期・・・延々と・・・結局初動をミスするとこうなってしまいます。
野生イノシシのコレラ感染個体の増加と拡大は、養豚場の出入りによるものとは別にイノシシ間で風邪のウイルスのように感染拡大しており、今後岐阜を中心とした汚染地域は、仮にイノシシが減ったり一時的に消えたとして、イノシシの死体や糞尿で自然界にばら撒かれたウイルスは一定期間経れば宿主(タンパク源)を失い自然消滅して終息するんでしょうか?それとも土壌中で休眠したり・・・また復活するリスクがあるものなのでしょうか?
養豚場でネズミが媒介というニュースもよく出てましたが、ネズミの体表面にウイルスが付着しているだけの場合と、豚コレラウイルスがネズミに取り込まれて、ネズミには悪さしないけどネズミの体内で生き続けることが出来る??全然意味合いが変わりますよね?
あとは感染イノシシの死体をカラスが食べたら、カラスの体内の豚コレラウイルスはどうなるの?とか・・・・豚、イノシシ以外は体内で死滅しちゃうのであればいいですけど。
イノシシの場合、集団でヌタバを利用するから厄介ですね
埼玉・秩父の養豚場で豚コレラ、殺処分へ 関東で初確認
朝日新聞 2019.9.13
豚コレラ 関東に拡大 5県目 埼玉の農場で発生
日本農業新聞 2019.9.14
感染経路が野生イノシシと無関係な可能性もあります
しかし、すでに長野から埼玉まで感染が拡大している模様 群馬 東京 神奈川へ拡大が懸念されます
埼玉・秩父市で豚コレラ感染の野生イノシシ発見 関東で野生イノシシ感染確認は初
毎日新聞 2019.9.24
豚コレラ対策ワクチン接種へ 農水省方針、発生エリアで
朝日新聞 2019.9.19
群馬で野生イノシシの豚コレラ感染確定
共同通信 2019.10.04