2018/12/18 06:25

今回は、ジビエのペットフード利用と放射能についてです。


ご存知の通り福島の原発事故で放射性物質は広範囲に拡散しました。
特徴的なのは、東北以外に、北関東や関東西部、甲信越の山岳地帯にも拡散したことかと思います。
http://www.imart.co.jp/fukushima-genpatu-houshasen-osen-zenkoku-map.html
福島の立ち入り禁止区域では、家畜が取り残され、イノシシが大繁殖しました。
もちろんその他の植物や鳥類、魚類、両生類、爬虫類への影響、イノシシ以外の哺乳類への影響は計り知れません。

ここでは、ジビエとして利用されるイノシシやシカに焦点を当てると、
イノシシは雑食、シカは草食で、どちらも汚染された土壌や山菜、野草、木本類、きのこ、果実、木の実などから体内へセシウムを取り込みます。
福島で行われている除染は、これらの野生動物の放射性物質取り込み阻止には何ら役に立ちません。
セシウムはカリウムと動きが似るので、シカがつまみ食いする部分の濃度が高いわけです。
イノシシはたけのこが好きなように、汚染された土を掘り返して、きのこや昆虫なども食べるので、こちらもセシウムを取り込みやすいでしょう。

海外の例

哺乳類への影響、チェルノブイリと動物

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/4164/
トナカイは高濃度汚染の地衣類やきのこをよく食べるので、より汚染されやすいシカ類だった

例えば福島にはほとんどシカはいませんが、宮城や岩手、関東には生息しています。
岩手県のきのこや山菜の出荷制限一覧です。当然この制限区域に生息するツキノワグマ、シカやイノシシも危険です。シカやイノシシは移動しますので、その周辺も安全とは限りません。汚染した個体がどこかで死ねば、そこも再び汚染されかねません。
実際は、捕獲個体を分析してみないと分かりません。年齢や食性にもよるでしょう。全頭検査は、非常にコストがかかります。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/kinoko/qa/seigeniwate.html
http://www.pref.iwate.jp/houshasen/torikumi/19116/002879.html

栃木や群馬県も基本的に同じ状況だと思います(下部データベース参照)。
http://www.radioactivity-db.info/Pref.aspx?q=%E6%A0%83%E6%9C%A8%E7%9C%8C
http://www.radioactivity-db.info/Pref.aspx?q=%E7%BE%A4%E9%A6%AC%E7%9C%8C

もう少し離れた埼玉県秩父や東京都奥多摩でも汚染個体が確認されています。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0508/wildmeat.html?fbclid=IwAR0Q8OyN6DTWprplMjq0WATWNg6tPROSB9x7eYQshkvGqr9t9n_XlxVBlT8
長野県 軽井沢周辺
https://www.pref.nagano.lg.jp/yasei/sangyo/ringyo/choju/hoshasei.html

秩父奥多摩隣接 山梨県全体
http://www.radioactivity-db.info/Pref.aspx?q=%E5%B1%B1%E6%A2%A8%E7%9C%8C

つまり、東北、関東甲信越においては、ジビエの利用について出荷制限、もしくは出荷制限はしていないが全頭検査が本来必要(コストがかかるので抜き打ち検査)と言えます。概ね解体処理場で処理される食肉とそれに付随するペットフード原料は、監視下にあると考えて良いかと思います。つまり、許可を得て営業している事業者は概ね大丈夫かと思います。

ここで問題視されるのは、自家消費以外でこれらの地域のジビエをハンター自ら捕獲して個人間で売買する場合、購入する側は安いからと言って飛びつくのは要注意です。言い換えると、凄い外れクジを引く可能性もあるということです。基準値を下回っていても含まれている場合は多いです。
それを小柄で影響を受けやすい愛犬に与えて大丈夫でしょうか?

もう一つはシカの角です。欧米では過去に保管されたシカの角を、過去から現在に至る環境汚染の履歴を調べる部位として利用しております。重金属や放射能の履歴などです。公害地帯ではそのような論文が多く報告されています。

この鹿角も個人間で売買されやすく、本州産のやや古い角も含めて最近特にペット市場に多く入っています。
解体処理場が販売しているものならさておき、全く異業種の業者が平然と販売しており、ただカットしたものや表面だけ軽く洗う程度のものを、品質には問題ありませんと表記して販売しております。どこが問題ないのか?理解不能です。
洗浄や加熱処理は当然行うべきものですが、それを施してもここで取り上げている放射性物質の問題は解決するわけではありません。

つまり汚染されていない北海道のエゾシカの角と本州の汚染地域およびその周辺の角は、リスクが全然違うものです。
原材料の産地や購入先の選定には注意した方が良いです。また、本州産のものをエゾシカと偽って販売する可能性にも注意が必要です。
大手通販サイトで販売しているから安全ということには全くなりません。ほとんど知識が全くない説明文をコピペしまくる素人です。

産地問わず、品質についても、まったく犬用に不向きな角を犬用に回している事例が、大手通販サイト内にも多数ありますので、ご注意下さい。
安さに騙されると外れクジを引く可能性は以前よりも増えております。

食品中の放射性物質データベース 厚生労働省
野生鳥獣肉
http://www.radioactivity-db.info/Category.aspx?q=%E9%87%8E%E7%94%9F%E9%B3%A5%E7%8D%A3%E8%82%89

きのこ
例チャナメツムタケ
http://www.radioactivity-db.info/product.aspx?product=%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8A%E3%83%A1%E3%83%84%E3%83%A0%E3%82%BF%E3%82%B1&category=%E8%BE%B2%E7%94%A3%E7%89%A9
例ハナイグチ
http://www.radioactivity-db.info/product.aspx?product=%E3%83%8F%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%81&category=%E8%BE%B2%E7%94%A3%E7%89%A9
例ショウゲンジ
http://www.radioactivity-db.info/product.aspx?product=%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%82%B8&category=%E8%BE%B2%E7%94%A3%E7%89%A9

今年ブナハリタケ クリタケ ムキタケを食べましたが、上記のきのこには手を出しておりません。

山菜
例タラノメ
http://www.radioactivity-db.info/product.aspx?product=%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%81%AE%E8%8A%BD&category=%E8%BE%B2%E7%94%A3%E7%89%A9