2019/01/21 12:45

NPO法人自然教育促進会(北海道 小樽)の小中学生メインのアウトドアスクールの一環で

エゾシカプログラムのボランティアガイドの一コマ
(その他 エゾシカ肉クッキング 鹿角アクセサリー作り 円山動物園訪問 エゾシカ講義など)

小樽から積丹半島へ

到着するやすぐにオスジカ成獣を発見したので、森の中へ

ここの現在の積雪は70cmくらいです

歩くと足がすっぽり入るので非常に歩きづらいですし、エネルギーを消耗することもシカの足跡の上を歩いて体験してもらいました



こういう状況下では、シカは無駄な動きを避けます
脂肪の浪費は避けたいのです
70cmくらいの積雪状態になると、ここではまだササの一部が雪面の上に出ていましたが、北海道に自生するミヤコザサやクマイザサは雪の下に隠れ、ここに自生するチシマザサも多くは雪の下に隠れるようになります。平坦な場所は先に隠れやすくなります。
針葉樹の樹冠下は針葉樹の葉が屋根の役割を果たすので積雪は半分くらいです。

冬の主食は、ササの葉で、葉のみを引きちぎります
樹皮や枝よりは栄養価は高めです


チシマザサの特徴は分枝が多いです
つまり冬芽が上の方に多くつきます
チシマザサの葉の寿命は、3年くらいはあるはずなので、それが1年目で食われるとササにとっても損失になります
鹿の採食圧が続くと、衰退しやすく小型化すると思います。

糞の中身は淡い緑色でほとんどササの葉でした
大きさから、恐らくオスかメスと推定されましたが、サイズだけでは性別までは区別できません
体の大きさと冬糞のサイズは概ね相関します
子の糞は小さいです



休息場所は1頭分で、針葉樹の樹冠下です
多分オスだと思いますけどね
親子ではないです

糞もあちこちありましたが、サイズは全てほぼ同じでしたので。


ノリウツギの樹皮食いです

選択性が非常に高い樹種です

全周剥皮されると栄養のやりとりを遮断されるので、枯死しますが、この樹種は地面付近から萌芽しますのですぐには死なないと思います。

雪が増えてきてつい最近食べ始めた感じです

広葉樹の枝食いや選択性が高い樹種のうち小中径木は、これくらいの積雪深から樹皮食いされます。
ただ樹皮には栄養も乏しく、難消化のリグニンなども含まれるので、ササが完全に食い尽くされるか隠れて掘り起こせない限りは、樹皮食いは限定的です。
仮に選択性が高い樹種があっても、それを目的に広範囲を探し回ること自体がエネルギーロスになりますので、このノリウツギは休息場所の針葉樹トドマツの樹冠のすぐ近くに存在したため被害にあったというのが私の解釈です。

子どもたちが、歯痕に関心を示していました


この樹種は比較的樹皮が柔らかいです
つまり削りやすい
まるで彫刻刀で削ったようですが、これは鹿の門歯 前歯が下顎にしか付いていないためです。
つまり馬やネズミのように齧るわけでは無く、下顎で削る、剥がすだけです。
なので鹿の樹皮食いは、あまり堅い樹皮や太い木、剥がしにくい樹種は限界がありますし、立木より倒木状態の方が削りやすいです。
雪や風で倒れると樹皮を食われるのはこのためです。

知床のような高密度越冬地でも採食圧は毎年ありますが、樹皮食いについては、生息密度や積雪深に関わらず、選択性の低い樹種ややや低い樹種については、もはや剥がすのは難しい木が残っているような状況です。

すぐ近くに川が流れ、おそらくエゾノバッコヤナギだと思いますが樹皮食いがありました。
この樹種も比較的採食圧が高いです。
やや太さがあり、剥がしやすいのでほぼ全周剥皮おそらくオスジカなので高い位置まで樹皮食い痕がありました。



最後に同じく選択性が高いニレがありましたが、樹皮食いはまだ見られませんでした。


この森は細い小径木もまだ多く生存し、選択性が高い樹種も残っているので、越冬地の被害としては軽微な場所です。

特徴的なのは、針葉樹造林地の存在が周辺の広葉樹河畔林の樹皮食いを局所的間接的に生じさせていたと推測されたことです。

つまり広範囲に被害があるわけではなく、鹿の越冬数(越冬密度)も多くはなく、採食圧も局所的に最近になって生じている(雪が多い状況下で)
ような感じでした。長期にわたり採食圧を受けている森ではないです。