NPO法人北海道自然資源活用機構 は、現在準備中です。
2019/12/15 23:25
「NHKスペシャル 食の起源(2)▽『塩』~人類をとりこにする“本当の理由”~」
が放映されました。
https://www.nhk.or.jp/special/plus/articles/20191206/index.html
再放送は、12/17-18 深夜0:35のようです
人類が誕生する以前、海から陸上へ進出した時に、塩分ナトリウムをいかに確保するかという問題に直面しました。内陸部へ入り込む場合は尚更です。
そこで、発達したのはかすかな塩を敏感に感じ取る舌のセンサー 塩を効率よく取り込む機能です。初期はほとんどが土なめだったと思われます。そのセンサーはナトリウムを摂取すると甘味やうま味も強く脳が感じるようになりました。塩味のとりこになってしまう理由です。脳は、塩不足の時代のままということになります。陸上哺乳類にとって塩不足は命に係わる大問題だからです。
人類が農耕を始めて、ナトリウムをほとんど含まない穀物や野菜を多く摂取するようになった時、多く含まれるカリウムを口にするようになって、過剰なカリウムを排出すると同時にナトリウムが腎臓で再吸収されずに体外へ多く排出されるようになりました。農耕とともに、人類が、塩分欠乏解消、健康維持のために製塩するようになりました。
アフリカのマサイ族は、少量のナトリウムを摂取する食生活をしています。家畜が土壌を舐め、塩分を取り込み、ミルクに塩分が含まれ、それを毎日たくさん飲んでいます。アフリカゾウも洞窟の土から塩分を摂取したりしています。
これをエゾシカで置き換えると以下のようになります。
「北原理作・行場未緒・竹下千代恵・大矢恵里子・林 茂樹・高倉 豊・小松輝行・鈴木悌司・増子孝義. 2016. エゾシカのナトリウム要求性~供給源と役割に関する考察~. 畜産の研究,70(11):855-865.」
エゾシカが内陸部に分布を拡大させるためには、塩場の確保が重要 土食いもしばしば行う
エゾシカが子育て つまりメスジカによる泌乳には多くの塩分を必要とする。夏の子育て場所には塩場が不可欠。
エゾシカが好んで食べる牧草や作物、山野草、樹葉にはナトリウムはほとんど含まれておらず、特に春はカリウムを多く摂取することになり、その分ナトリウムも多く補給する必要がある。春に要求量急増。シカが好む新芽にはカリウムが沢山含まれます。
例外的に、ナトリウムを多く含む作物が存在する。それは甜菜糖の原料ビート。春から夏の塩分要求量が多い時期にビートのつまみ食いが出来ることはエゾシカにとっては好都合。
さらに、シカのような反芻動物の場合、草を消化する発酵タンクに存在する微生物の環境を維持する上で(酸性に傾き過ぎないようにするため)、アルカリのナトリウムは不可欠。
アフリカゾウの動画は下記参照
https://npohokkaido.thebase.in/blog/2016/10/25/014907